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「また夕方、迎えに来るわね?」
悦子は髪を掻き上げた。いつも束ねているせいか、その髪は下ろすとやたら長く感じた。
悦子は、自分が完全に背を向けるまで笑っていた。普段"笑顔"とはかけ離れたイメージを持つ彼女だったからこそ、恵梨香にはそれが不自然で堪らなかった。
「どうしちゃったのかしら……?」
そして、やはり最初に口を挟んだのは朱美で、ただでさえ皺の多い顔をさらにしかめながら、悦子の後ろ姿を見つめていた。
「熱でもあるのかな……?」
「まさか……男!?」
「「いやぁ~」」
ママ友たちからは様々な憶測が飛び交った。だが、恵梨香はそれより、悦子の動向が数倍気になった。そのせいか、気付けば悦子を目で追い、物陰に身を滑らせながら跡を追っていた。
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