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恵梨香がふたたび正面を向くと、悦子はもう完全に室内に入ってしまったようで、こちらには物音ひとつ聞こえてこなかった。正面のドアを見ると、その脇に辛うじて小窓があったが、すりガラスになっていて中の様子は見えたもんじゃなかった。 だが、恵梨香には気になって仕方なかった。 悦子がなぜあんなに風変わりしてしまったのか、そして、そうさせたものは何なのか…… 恵梨香は、思い切って裏手に回った。 なぜそこまで執着してしまうのかは恵梨香自身にも分からなかったが、とにかく彼女の中の好奇心はこのときすべての感情に勝っていたのだ。
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