パンク・オブ・ユーフォリア

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 一際大きな振動が、旧式の輸送機内に佇む俺のけだるい気分をさらに盛り上げた。 手にした突撃銃が機左に、右への揺れに合わせて鈍く光っていく。 「宇宙まで数時間でいける、このご時世に・・・この進歩のなさ、たまんないねぇ?」 用途不明の機材が点滅しまくる壁際に呟くが、答えは帰ってこない。設置されている意味を理解する必要はなさそうだ。俺には多分必要ない事だからな。 現在は恐らく近未来、文明が発達しすぎたのか?それとも人間の精神構造が トップギアにインしたのか?学がねぇ俺にはさっぱりわからない。 とにかく言える事はクールジャパンが「狂うジャパン」なんて皮肉られる時代になった 事だけは、確かで、この機体内に光る機材も、俺が引き受けた仕事も全てが、 その影響を受けている…らしい。 ふいに機械群の一部が強く点滅し、四角い枠組みが形成され“ボコッ”という音と共に、 液体の入ったビニールパックが現れた。 俺は考えを止め、素早く封を切り、口元に流し込む。何とも言えない味が口内に広がる。 それと同時に電気ショックを受けたような感覚が脳内を走り、頭の中に様々な図面や 人物の写真が映し出されていく。 便利な時代だ。荒事にしか興味を示さない筋肉馬鹿に事細かく、かみ砕いて説明するより、こっちの方が断然早い。余計なもめ事もしなくてすむ。 俺は理解したという風に頷き、装備の点検を始める。愛用している戦闘ヘルメットには 薄い鉄版を2枚貼り付けて装甲を強化してある。腰のベルトには大小様々、多様な種類の手榴弾が2つずつの計6個。 反対側には45口径自動拳銃と予備弾倉の入ったホルスター。着込んだ防弾アーマーに マガジンポーチをくくりつけ、30発入りの弾倉8つを差し込む。 仕上げは肩のナイフベストにレールナイフ(電磁式ナイフ)を納めて用意完了だ。 旧式突撃銃の安全装置を外し、昔好きだったロボットアニメの台詞で今日は決めてみる。 「“軍曹”出るぞ。」
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