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自宅の近くで車を降りたがすぐに家に入る気にならずに近所のチェーン店の喫茶店に向かい気持ちを落ち着ける。
冷静になってみるとあまりに突拍子のない話だったので本当に信じてよいものか。その場の雰囲気に流されてしまっただけなのかもしれないと疑いたくなるが、あの全身を押さえつけられる感覚の説明が出来ない。高度な催眠術かもしれないとも考えてしまうが、重力が一瞬で変わってしまったようなことを催眠術で可能なのだろうか。
なにより山本女史の話すことには説得力があり、そして今他にすがる藁すらない状態なのである。だまされたところで木綿子の状態がこれ以上悪化するわけではないのだから信じようが信じまいがすがるしかない。
助かるかもしれない。暗闇の中で遠くに明かりが見えた気がした。まだ針の穴程度で錯覚かもしれないほどの明かりだがそちらに向かうしかない。
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