発症

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その日から一週間藁にもすがるつもりで訪問したが芳しい結果は出なかった。正直詐欺まがいな宗教にも行きそうになったが流石に思いとどまった。一週間の休みはあっという間に過ぎて行った。 お互いに口数も減り絶望と諦めが漂い始めたころ段々とQOLの向上のためのルールを決めなければならないと思い始め。病院の近所に引っ越すこと。今の仕事を続けられるかどうか。そして今間に合うかは相談によるが子供をつくるかどうか。子供を作るのは妻の夢でもあった。  正直一人で介護と子育てと仕事をこなすことが出来るだろうか。でも弱気になってはそのまま流されてしまう。何よりまず治療法を諦めるわけには行かない。 明日からのスケジュールを考えてるときに携帯が鳴った。非通知設定であったが会社から支給されている携帯のほうだったので非通知でも夜中でも出ざるを得ない。 「はい、檜山です。」 「こちらは檜山幸太郎さんの携帯で間違いないですね。」 初めて聞く女の声だった。 「そうですが、失礼ですがどちら様でしょうか。」 「突然のお電話で失礼します。今はまだ名乗ることが出来ません。奥様の病状のことでご相談したいことがあります。近々お時間をとって頂くことは可能でしょうか。」 「からかってい るんですか?いきなりかけてきてどうして信じろと?」 「その点についてもお会いしたときご説明させて頂きたいと思います。もしご信用頂けないならばそれは致し方ないことですが失礼ですが今、このままでは奥様を救う手段がないということを既にご理解していらっしゃることと思います。一つこの場で言えるのは我々ならば救えるかもしれないということです。」 「なんかの宗教ですか?今後こちらも出入りが激しくなるので怪しいものに金銭をお支払いするつもりは一切ございません。だますなら人みてやってくれ。夜中に非常識すぎるだろ。」
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