夏の魔法

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ああ、そろそろ休憩しようかなと影を探す。 今日は普段練り歩いているオフィス街から足を伸ばし、郊外の住宅街が営業周りのターゲットだ。 ふと汗が流れる顔を上げると、そこには懐かしい風景があった。 ・・・ああ、ここって かつて僕が通っていた高校。 陽炎の向こう側に姿を見せたのは大きな我が母校だった。 暑さですっかり忘れていたが、このあたりはかつて僕が住んでいたところだった。 学生時代の記憶が次々と浮かんでくる。 別に用事があった訳ではないが、僕はかつて思い出の場所へと足を向けた。 記憶の中にあるタイルの剥がれた壁や、錆ついた校門といった全体的に小汚かった学校は改装されたのだろう、すっかりとキレイになっていた。 多少の寂しさを感じながらも学校の中を覗き込でみる。 聞こえてくるのはセミの声だけ。 学校はなんともひっそりとしていた。部活動をしている生徒も見受けられない。 「まあそんな日もあるだろう。ふむ」 となれば。 小さな出来心が芽生えた。
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