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一同はあまりの衝撃に黙りこくり、一つの結論に至る。
「そ、そんなもの売れるわけが・・・」
「いや!売れる!間違いなく売れる!」
部長は力強く断言した。
「そこなんだよ、そこ。そこがお前たちのダメなところなんだ・・・。最先端の技術と顧客のニーズ、これが結びついていたのは10年前までの話だ。今、顧客が求めてることはそんなことじゃ無い!今、求めてること。それは、めんどくさいことなんだよ!」
一同の頭にははてなが浮かぶが、部長はそのまま力説を続ける。
「わかるか?今の時代は寝てようが起きてようが飯が勝手に作られて、好きな時に好きなことができるようになった。確かにそれは幸せなことだ。でもな、幸福ってもんは不幸があるからこそ成り立つんだよ!幸福しかない世界ってのはそれは幸福ではなく当たり前になっちまうんだ!だから、今奴らが求めていること。それは幸福になるための不幸!それが懐古主義!人類を幸福へと誘う最後の砦なんだよ!」
「最後の砦・・・」
開発部の社員に光が射し、思わず声が漏れた。
「そうだ!だから、これから俺たちが開発する商品は壊れていいんだ!間違えていいんだ!いや、むしろ壊れなきゃならん!間違なきゃならないんだ!」
部長の壮絶なプレゼンは社員の心をノックした。
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