愛とプロムナード

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その日私は大学に通う途中でした。大学に続く道には大きな車道とそれに並ぶ歩道がありまして、ほとんどの大学生さんはその道を通っていました。けれどもその道には問題が一つあります。5月だというのにちょっと暑いのです。日差しを直で受けてしまうので、汗っかきの私は、お気に入りの花柄のブラウスがびしょびしょになってしまいます。大学で待っている同じ薬学部の和人さんにダメな印象を持ってもらっては困ります。ですから私は大学に通じるもう一つの道を使うことにしたのです。その道はとても遠回りです。茶褐色のレンガが敷きつめてあるような道で、くねくねしています。日差しがいまいち差し込まないせいか、ちょっとジメジメしています。人通りもありません。それでも私はこっちの道を選びました。なぜならこの服は4万円もしたのです。汗はかきたくありません。
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