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こんばんは
ある夜の事。
雲間からお月さまが顔を覗かせると、
「こんばんは。」
と、可愛らしい声が。
「こんばんは。」
と、お月さま。
お月さまはとても礼儀正しいのでちゃんと挨拶を返します。
けれど、一体、どこから聞こえた声なのかは分かりません。
ーーーはて、どこから聞こえる声なのだろう
お月さまは考えました。
すると、
「お月さまは一人でお空にいて寂しくないの?」
と、また可愛らしい声が。
お月さまはよく目を凝らして暗い暗い足元を探してみました。
と言ってもお月さまに足があるわけじゃありませんけど。
ーーーはて、なかなか見つからないものだ
お月さまは声の主を探してみたけれどやはりどこから聞こえる声なのか分かりません。
「お月さま、もしや私を探してるのかしら?」
その声にお月さまは探すのを諦め問うてみました。
「君は一体、どこにいるのかい?」
「私はここよ。ここです。」
可愛らしい声は楽しげに答えます。
「ここと言うとーーーああ、きっとあそこだ。三丁目の西山さんちの屋根の上だね。ほら、見つけた。君はあの黒猫かい?」
西山さんちは黒猫を飼っています。
名前はクロ。
黒色した猫だからクロと名付けるなんてなんてナンセンスなの。と、いつも屋根の上でボヤいているあの黒猫のようです。
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