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真奈美の生まれも広島、それで育ちは東京。
荒川は生まれも育ちも東京。
「まぁいいや。店も暇だし、メシにしよう。なに食いたい?」
「はいは~い、モツ煮込みとサラダと白ごはんを」
「真奈美はそれでいいか。比奈は?」
「牛スジ」
訊かれた比奈はボソッと返した。
「へいへ……じゃない、はいよ」
荒川が厨房に入り、業務用の冷蔵庫を開けて料理の準備をしだす。
その様子を、比奈が変わらず無表情でビアンキの背中を撫でながら見ていると、真奈美が声をかける。
「比奈ちゃん、また白ごはん食べないの? それにいつも牛スジじゃない。野菜も食べよう」
「そういう真奈美はいつもモツじゃないのよ」
「あたしは禁菓(お菓子を禁止している) してるからいいの。モツまでやめれますかって」
「禁菓ってなに……? 新しい言葉を作るんじゃあない」
二人がそんな話をしていると、荒川がブツブツとなにか言っている。
「どうしたんですか? 荒川さん?」
「いや、仕込んでおいた牛スジが無くなっているんだよ。たしかここに入れて置いたんだけど、おかしいな」
比奈が訊き、荒川が答えると、真奈美が気まずそうに言う。
「もしかして、牛スジの材料はそこにしかなかったんですか……」
「まさかあんたっ!? ……ったくよぉ」
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