第一話

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……髪はまたバッサリいくか。 そう思っていると目的の美容院にたどり着き、駐輪スペースにロードバイクを止めた。 しかし、いざ美容院を前にして比奈は怖気づいていた。 ……なんか思っていた以上にオシャレ感が半端(はんぱ)なくて入りづらい。 やっぱこういうとこは苦手だ。 しかも店の名前はスィーニュ……フランス語で白鳥ときたもんだ。 フランス語って、カイジに出てくる船じゃあるまいし、店を変えるか。 比奈が店の前で、棒立ちになっていると中から人が出てきた。 「どうもいらっしゃいませ……って、あれ? 比奈ちゃん……だよね?」 「もしかして……伊月(イヅ)先輩……ですか?」 「久しぶり!! なんか仕事で関東に行ったって聞いていたけど、帰ってきたの?」 その比奈がいうオシャレ感が半端ない店から出てきた男は、伊月と言う男で比奈のよく知っている男だった。 伊月治夫(いづきはるお)――。 比奈の高校時の一つ上の先輩で、顔にかかるくらい長い前髪にショートボブの刈り上げ、生まれつきのナチュラルなブラウンヘアー。 背は平均より高めで細身の健康そうな色白、顔立ちは派手さはないものの端正な顔をしている。     
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