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……髪はまたバッサリいくか。
そう思っていると目的の美容院にたどり着き、駐輪スペースにロードバイクを止めた。
しかし、いざ美容院を前にして比奈は怖気づいていた。
……なんか思っていた以上にオシャレ感が半端なくて入りづらい。
やっぱこういうとこは苦手だ。
しかも店の名前はスィーニュ……フランス語で白鳥ときたもんだ。
フランス語って、カイジに出てくる船じゃあるまいし、店を変えるか。
比奈が店の前で、棒立ちになっていると中から人が出てきた。
「どうもいらっしゃいませ……って、あれ? 比奈ちゃん……だよね?」
「もしかして……伊月先輩……ですか?」
「久しぶり!! なんか仕事で関東に行ったって聞いていたけど、帰ってきたの?」
その比奈がいうオシャレ感が半端ない店から出てきた男は、伊月と言う男で比奈のよく知っている男だった。
伊月治夫――。
比奈の高校時の一つ上の先輩で、顔にかかるくらい長い前髪にショートボブの刈り上げ、生まれつきのナチュラルなブラウンヘアー。
背は平均より高めで細身の健康そうな色白、顔立ちは派手さはないものの端正な顔をしている。
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