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第二話
比奈は、美容院の後に自宅である定食屋に帰ってきた。
「おかえりなさい比奈ちゃん!!! あっ! 髪サラサラ~!!」
出迎えてくれたこのテンションが高い人物は、橘真奈美。
22歳で比奈の一つ上。
赤茶の髪に大きな瞳の可愛らしいルックスの女性だ。
真奈美は、嬉しそうに比奈の髪を触りだす。
「ちょっと、あまり髪に触れないでくれる。せっかく美容院へ行って来たのに」
冷たくいう比奈は、真奈美を振り払った。
しょんぼりする真奈美。
「へぇ、干物のあんたがめずらしいね」
「人のことをうまるちゃんみたいに言わないでください。あたしだってたまには……というか荒川さんが行き過ぎなんですよ」
「行き過ぎってあんた、三カ月に一度くらいは普通だよ」
今比奈と話しているのは、荒川靖子。
26歳、センターでわけたストレートロングの黒髪に鋭い切れ長の目をしている女性だ。
前に、仕事の関係で大怪我をして左腕が失くしたため、肩口まである義手をつけている。
それを隠すためいつも左手には黒い手袋をしていた。
ちなみに、この定食屋ビアンキの料理はすべて彼女が作っている。
二人とも比奈とは不動産会社からの付き合いだ。
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