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その言葉に思うことがあったのか、ひなたちゃんがまた咳払いをする。
ひなたちゃんが何かを言いたい時に出るクセだ。
「あ、あのさ、お姉ちゃん、好きってどんな感じ?」
ひなたちゃんが目をそらしながら聞いてくる。
難しいことを聞くな私の妹……。
「なんだろう、楽しい時間とか嬉しいこととか共有したいってこと……かな?」
「んー……そうかあ……」
なんか腑に落ちていない?
なんですかこの状況。恥ずかしいな。
「じゃあ、お姉ちゃんは、阿賀さんのこと、まだ、好き? 楽しい時間とか共有したいって、思っている?」
一瞬。
一瞬だけど、息がつまった。
好き、とか、好きじゃない、とか、そういうこと、もう、あまり考えてなかった。
そういう、問題じゃない。多分。
「もう好きじゃないよ。そんな風には全然思ってない。大人になると、片思いなんかしないの」
すぐに取り繕った笑顔で、なんとか切り抜けた。
切り抜けられた、多分。
「さて、私もシャワー浴びよー、なんか汗かいちゃった」
二人分のグラスを持って立ち上がり、片方のグラスに残っているものをシンクに流して、お風呂場に向かう。
「全然大人なんかじゃないくせになあ……」
リビングのドアを閉める時、どこかからそんな声が聞こえた。
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