第一章(4/6) ロングヘア:阿賀孝典

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 最初の頃は、それでも日和からの連絡に答えることが出来ていたけれど、いつの間にか、メール一通返すことすらも大きな負担になっていた。  寝るためには、一秒すらも惜しかった。 『おやすみ』  日が出てからそんな文章を送るおれのことを、日和はどう思っていただろう。    ある時、CMで脇役出演の女の子や先輩含めて撮影の後に軽く打ち上げに行った。  脇役の女の子は、次の仕事につなげたかったのだろうが、完全に媚びる相手を間違えていて、おれにやけに絡んできてた。 「阿賀さんって、めちゃくちゃイケボじゃないですか? 声低くてかっこいい!」  まじでこんな飲み会どうでもいいから帰って寝かせてくれ……。  そんな風に思いながら酒をちびちび飲んでいたところ、 「こっち向いて!」  自撮りで撮った写真を、SNSにアップされた。  
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