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翌日、それを見た日和から、電話がかかってきた。
『ねえ、これって、どういうこと? この人誰? 私たちってどういう関係なの?』
彼女がわめくのに相手をしている時間も体力もなかった。
「うるせえな、子供には、わかんねえよ」
そんなようなことを言って切ったんだったと思う。
そりゃ、わかるはずもないよな。
知らないんだもんな。
電話を切って、タバコを吸いながら、自分がやっていることってなんなんだろう、と思った。
このCMを作る上でおれがしていることは、動画の書き出しと、コーヒーを注ぐことと、お菓子を買うためにデパートに並ぶことと……。
何か、内容に関係するようなこと、しただろうか?
このCMが出来上がった時、おれは日和に、「おれが作ったんだ」って胸を張って自慢できるのか?
日和は言うだろう。
「すごい! 夢だったCM作ったんだね! 孝典さんはどんなことをしたの?」
おれはなんていう?
「コーヒー注いで愛想を振りまいてたんだ! いやー、これが大事な仕事でな……」
自分が作ったとも言えないようなもののために、毎日2、3時間だけ会社の椅子で寝るような生活を送って、何になるんだろう。
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