第一章(4/6) ロングヘア:阿賀孝典

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 早く雨がやまないもんかな、と、階段の上で壁に寄りかかって考えていたおれの足元に、天窓からオレンジ色の陽が差してくる。  まごついているうちに、雨が通り過ぎたみたいだった。  次の電車がちょうど着いたところみたいで、まばらに乗客が降りてくる。  ラッキーな人たちだな、と思う。  もう、日和もいなくなっただろう。  おれも帰ろう。   弾みをつけて壁から身体を離し、歩き出そうとしたところ、 「阿賀さん?」  日和に似た声が俺を呼んだ。  ビクッとして振り返ると、改札から出てきたのだろう、日和の妹のひなたちゃんがいた。    デートのために日和を家まで迎えに行った時に、何回か、挨拶をしたことがある。  すごくほがらかな子だった。  最後に会った時は、中学生だったかな。  初めて行った時にはなんだかジロジロ見られて、 「阿賀さんてうちが小学二年生の時、中学生だったりしますか?」  と聞かれた。  計算するとギリギリ中学三年生だったのでそう答えたら、 「そうですか」  と、すごく嬉しそうにしていたのが印象的だった。  あれは、どういう意味だったんだろう。
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