浦島アゲイン

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浦島アゲイン

【その一】セカンド・シー研究所 時は2110年12月31日。 ここは日本のキョウトに設けられた国際機関セカンド・シー研究所です。 研究所には世界中から科学者たちが集まって、今日も夜遅くまで会議が続けられていました。 「それでは『第22回海洋生物実験』の結果をご報告いたします」 立派な口ヒゲをたくわえた、ロシア人科学者のニコフさんが壇上で話し始めます。 四方に据えられた大きなスクリーンには、ニコフさんの言葉が世界中の言語に訳されて映し出されていきます。 科学者達も、じっと耳を傾けています。 「11月21日、我々は100種類におよぶ海洋生物のサンプルを日本海Bブロックエリアに放ちました。しかしながら、約1ヶ月が過ぎた12月31日現在、生き残っている生物はございません。ゼロです」 「海の環境はいまだ生物が暮らせるほどには回復していないのです。残念ではありますが、22回目の生物実験もムダに終わってしまいました。報告は以上です」 話し終えると、ニコフさんはがっくりと肩を落としてしまいした。 科学者達の落ち込む声が、会議場にひびきます。     
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