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高校から施設へと戻る道のりで、みずかはこれからのことを考える。まずは施設に戻り、原塚さんに不合格だったことを報告。その後はどうしようか。ハローワークに行くなり、インターネットの求人サイトを見るなりして、仕事を探そう。
中学二年生の秋頃、進路を考え始める時期になってから、みずかは働きたいと考えるようになった。時間が経つに連れてその思いはどんどんと膨らみ、それに反比例するように高校に進学したいという思いは縮んでいった。
しかし、職を探す前に、みずかが超えなければならない関門はもう一つある。
それは再募集。定員割れが起きた高校が、もう一度生徒を募ることだ。
原塚さんはどうしてもみずかを高校進学させようと、そこに賭ける可能性がある。
再募集の際、高校側は受験生の試験の点数を参考に合否を決める。みずかの答案は間違いなく〇点なので、再募集でも当然落ちるだろう。そうなると、原塚さんに、みずかは一生懸命勉強していたのかどうか、そのこと自体を疑われることになる。ここまで話が進むと、きっと原塚さんを欺き続けることは出来ないだろう。その後の原塚さんの行動は想像できる。仕事探しに協力的で無くなることは絶対的だとして、施設にいることも気まずくなるだろう。すんなりと仕事が見つかればいいのだが、うまくいかない場合はどうしたら良いのか見当もつかない。いっそどこかに住み込みで働くか、それとも伝統工芸の家とかに弟子入りするか…。うまく原塚さんの考えを誘導して、再募集だけは避けないと。
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