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「どうしようか…」
思わず声が漏れてしまった。
それと同時に視線を感じ、みずかはその方向に意識を集中させる。
みずかの五メートル程手前の歩道に、一台の黒い自動車が停めてあり、その中にいる二人の男がみずかの方を見ていた。
気に掛けていない素振りを見せつつ、横目で二人の様子を窺う。運転席に座っている男は座高が高い。身長も一七五センチ以上はあるだろう。髪は短く黒い。スーツを着ている。助手席に座る男は、運転席の男よりも身長が低そうだ。髪の長さは耳が隠れるほどで、おそらく金髪か銀髪。こちらもスーツを着ている。
注意を払いつつ、自動車の横を通り過ぎる。そのまま歩き続けるが、後方への警戒は解かない。何歩か進んだところで、ボンッと車のドアが開く音がしたので、即座に振り返る。車から二人が同時に降りた。
「川島みずかさんですね」
明るい髪色の男が言う。その色は白が強い金で、日光に照らされて眩しい。前髪が目にかかっていて表情が分かりづらい。
「誰ですか」
「少しお話いいですか」
金髪が一歩踏み出したので、みずかは五歩程後ろに下がった。「誰ですか」と応えてしまったので、自分が川島みずかだと相手は勘づいただろう。
「頼む」
金髪が小声で言ったのを号砲として、もう一人の高身長の男がみずかを目がけて走ってきた。逃げるのは得策では無いと判断し、みずかは男をざっと眺める。
身長一八五センチ。体重約七八キロ。年齢は二十五歳以上三十歳以下。首の長さは平均的。腕のリーチは長め。脚の長さは平均的。靴のサイズ二八センチ。下半身の筋肉が特に発達。ガニ股。左脚の動きが遅い。
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