外飼いの犬

　最近は屋内飼いが主流だけれど、うちの家では昔ながらに屋外で犬を飼っている。
　庭に置かれた小屋と、その周辺の紐で移動できるスぺースが飼い犬のテリトリーだけれど、あまり動き回りたいという意欲はないらしく、もっぱら小屋に張りついた位置で寝ている。
　あと、犬にしては警戒心や察知能力がないらしく、見知らぬセールスの人が庭に入り込んできても知らん顔で寝入っている。
　我が家の犬はそんな感じ。…でも時々不思議な反応をすることがある。
　庭どころか、敷地の外にすら誰もいない。そんな状況なのに、外に向かって飼い犬が吠えている。
　犬の散歩途中のご近所さんもたまたま通りかかった野良猫もいない、何も存在していない空間。そこに向かってずっと犬は吠え続ける。
　宥めても怒っても吠えることは収まらない。でもある瞬間、突然犬は吠えるのを止め、元通りに小屋の外に寝そべるのだ。
　いったい何が起こっているのか。
　ひたすら疑問だったけれど、この前たまたま見た心霊番組のおかげで、もしかしたらという推測が成り立った。
　人間には見えない何かを見つけ、それを警戒して吠えている。そういうことなのではないだろうか。
　番組の映像がどこまで真実かは判らないけれど、もしやうちの犬も…と思うには充分だった。
　いつもはひたすら小屋の外で寝ているだけの我が家の犬。今後は、お前が吠えたら何か怪しいモノがいる。だから関わらないように行動しようと、そう心がけるよ。

外飼いの犬…完