私と彼の夏休み?

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ジリジリと太陽が照りつける。アスファルトからの照り返しが夏の暑さを一層強める。 夏といえば夏休み。 夏休みといえば海にお祭り、彼氏との思い出がたくさんできる。 今日は大好きな私の彼氏Kくんと夏祭りにやって来ました。 焼きそば、たこ焼き、りんご飴、綿あめ、かき氷、 目移りするような屋台がたくさん並ぶ普段は静かなこの通りも今日ばかりは大勢の人で賑わう。 浴衣姿のKくんはいつもかっこいいけれど、今日はいつもの数倍カッコいい。 そして彼はこういうのだ。 「浴衣可愛いねゆかり。」 「Kくんもかっこいい。」 夜でも暑いこの時期。二人は頬を赤く染める。 「じゃあ行こうか。」 どちらからともなく手を繋ぐ。人混みなんて関係ない。ここは私と彼の二人の世界。 「りんご飴食べる?焼きそばにする?それともどっちも?」 「ど、どっちも?」 「おっけー。」 私のわがままも聞いてくれたりして。 りんご飴を舐めながら花火を見る場所を探す。 「こっち、こっち来て!」 Kくんは人が集まってるところではなく、逸れた道を歩き始めた。 「どこ行くの?」 「いいから。」 そのまま少し歩くと人は全然いなかった。 「ねぇ。花火見ないの?」 腕時計を見ると花火が始まる10秒前ぐらいだった。 「見るよ?」 Kくんはニコリと笑った。 その時だった。 さらに大きな花が咲いたのは。 「うわぁぁぁ!」 私は思わず声を出した。 「ここは、特等席なんだ。」 「こんなに綺麗な花火が見れるなんて!ありがとう!Kくん。」 「ゆかり。来年も二人で来ような。」 そう言ってKくんは私にゆっくりとキスをした。 私は表紙に妄想日記と書いたノートを閉じた。 …なんて、青春は私の元にはまだ来ない。 浴衣姿のカップルを見て羨ましいと思うだけ。 夏は来ても運命の人はまだ来ない。
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