雪降る途

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雪降る途

冬のこの痛い様な凛とした寒さが好きだ。 口から吐き出される息が白く色づいてふわりと霧散して行く様を見るのも好きだ。 雪が積もってさらさらとこぼれ落ちるのも、一晩経ってザクザクと固い感触になるのも好きだ。 つまりは冬が好きって事なんだろうけど、多分一番好きなのは、早朝の除雪車の轟々シャリシャリという音だけが遠くから聞こえる無音に近い静寂の世界だ。 時々、木の枝から落ちる雪の音が妙に大きく響いて、街灯のオレンジ色の光と相まってまるで別の世界に居る様な錯覚さえ覚える。 そんな時間が大好きで、早朝というより深夜に近い時間にそっと出かけては散歩なのか徘徊なのか分からない時間を楽しんでいた。 大学生にもなって何やってるんだと思わないでも無い。 普通に楽しく大学生活も楽しんでいるし、友達も多い方だと思う。 今彼女は居ないけれど、過去に居た事はあるし、別に寂しい奴でもおかしい奴でも断じて無い。 何故こんな風にいい訳がましい思考になってしまっているかというとそれは横であくびをしながら並んで歩くこのおっさんの所為だ。 近所に住んでいるらしいこのおっさんは俺の早朝の散歩の時に出会った。     
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