勇者LV.3

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 一息ついたところで戦場へ戻る。  鉄のドアの向こう側から、もう何体かの気配を感じる。 「マルアさん、用意はいいですか?」 「はい、万事OKです」  僕が言う立場なのかは分からないが、先導するのは僕、で良い筈。  鉄のドアを勢いよく開けて、武器を構えた。  が、何も居ない。 「上です!」  その声が無ければ、潰されていたかも知れない。  水晶の蜘蛛人間。大きさは軍馬くらい。天井から落ちても罅すら入っていない軽やかな動き。巨大な蜘蛛の下半身に筋骨隆々の男の上半身。槍と盾で武装している。  もちろん一体ではない。少なくとも六体。奥の方にもっといるだろうけど。ここは蜘蛛の巣かなんかだったっけ?  水晶の巨人より小柄だが強い。  チームワークも良いみたいで、魔法で防御を固め、槍での中距離牽制が厭らしい。僕もマルテイシアさんも、近距離武器なので、なかなか攻撃が当たらない。しかも、蜘蛛の足の動きに翻弄されて、距離感も掴めない。
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