勇者LV.3

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 何より、マルテイシアさんの様子がおかしい。 「マルアさん、大丈夫ですか?」 「あ、え、ええ、ちょっと」 「危ない!」  隙だらけのマルアさんの背後に一匹、小柄な蜘蛛人間が忍び寄っていた。 「らしくありませんね」 「蜘蛛、苦手なんで」 「ええー!」  確かに、蜘蛛苦手な人多いですよね。  でも、この大きさになったら蜘蛛感よりモンスターでしょ。  何かトラウマがあるかも知れないけど、ここでトラウマ増やしても。 「あれ蜘蛛じゃないですよ、足の多いオッサンです」 「おっさん!?」 「半透明なシースルーの変態オヤジです」  小さな笑い声が聞こえた。  変態オヤジは変態オヤジで怖い気がするが、彼女にとっては蜘蛛よりは良いだろう。節のある細い八本脚ではあるが、リアルな毛羽立った感じの足ではなく、素材は水晶だから、虫感も少ないと思う。
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