勇者LV.3

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 何か、を引き付けてもらっている間に、あいつ、を倒す。  クリスタルスライムの弱点を突いて一撃で倒す。  これは、父に教えてもらった事なのだが、クリスタルスライムには穴がある。呼吸をする為なのか、何かを吸収する為なのかセンサーなのかは分からないが、穴がある。  とは言え、体がほぼ透明なので、穴を見つけるのも至難の業。  目を凝らして、よく見なければそれとは分からない。  まるでヒヨコの雄雌の見極めのような繊細な審美眼が必要なんだ。  ユウシャアイ。とでも言おうか、僕は目が良い。  小さい頃は引き籠もりの読書家だったのに視力は衰えず、立ったまま、アリンコの顔色が分かるくらい細かな物が見える。例えはいまいちだが。  じっくりと目を凝らすと、それはあったお腹なのか顔なのか分からないがヘソの位置に見えるくぼみが、呼吸するように大きくなったり小さくなったり。  皮の袋に入れておいた勇者のアイスピックを取り出し素早く近づく。 「そこだーっ!」  大声を出すと一瞬動きが止まるのも、クリスタルスライムの特徴、これも父に教えてもらった。さっと、穴にアイスピックを差し込む。
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