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そこには蚊が居た。
蚊よりも小さい、米粒以下、小麦粉の一粒程の物。
今の僕の目にハッキリ映るモンスター。
顔は豚、体はマッチョで虫の羽が生えた男。
隙を見て、だらりと下げた両腕で殴ってくる。
極小の物体だったから見えなかったのだ。
そこら中に舞う埃の一粒より小さいミクロン単位のモンスター。
もう少し賢いモンスターなら、外的な攻撃に固執せず、体の中に潜り込んでしまえばいいのに。等と言う姑息な事を考えてしまう僕の方がモンスターだ。
ヤツのパンチを見切った。
と言っても、物理的な拳をかわしても意味がない。
小さなパンチの一つ一つが音速の壁を越え強大な真空波と化している。だいたい、見えない空気の動きなんて、そうそう簡単にはかわせ、た。
ボコンッと背後の硬い岩盤が崩れる。
それから何発もかわし、ちょっと余裕ができた、と思ったらこけた。
鮮やかな右フックの真空波がもち肌の右頬にめり込む。
レベルが上がって防御力も高くなっているが、直に受けると痛いという事には変わりない。
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