勇者LV.3

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 魔法覚えの良い勇者は羨ましい。  レベルが上がる毎に派手で強力な魔法を覚えられる。  パーティーで魔王城に乗り込む時は、まさに花形。  僕のように個人強化魔法メインだと、あまり目立つことは無い。目立ちたいと言う訳では無いが、それなりに注目を浴びたくない訳でもない。 「ちょっと、この坑道の中では使え無さそうな呪文ですね」 「そ、そうですか、攻撃系の魔法なんですか?」 「ええ、まあ、煌びやかな、ちょっと恥ずかしいかもしれません」 「そんな事は、無いんじゃないでしょうか?」 「いえ、私は、直接攻撃する方が性に合っているので」 「贅沢ですよ、僕なんて攻撃魔法は、花火程度しかできませんから」  冗談だと思って笑ってくれたが、これはマジな話。  初めて使えるようになった時は、はしゃいでいたが、本当にロケット花火のような魔法で、真っすぐ飛んで、パンッと消える。本物の子供だましの魔法、むしろ手品に近いかもしれない。  小さい頃には、妹に喜ばれていたな……。 「次、来ますよレスタリオスさん」  サモナークリスタルが再び稼働を始めた。
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