勇者LV.3

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 剥き出しの中身に向けて、魔法を撃ち込みたいのだが。  ゼリー状のアレでも、強力な個体、僕程度が扱える攻撃魔法なら、火花程にしか感じないだろう。地道に物理攻撃を与えた方がぁ効率がぁぁあぁ眠い。 「ドカッ」  首があらぬ角度に曲がりそうな、重い一撃、それで目が覚めた。  中身を剥き出しにしたところで強さは変わらない。  むしろ、怒りのせいでパワーが増していなくもない。  攻撃に徹していれば隙を突けるのだが、相変わらずのディフェンス力で、大きなダメージは与えらせない。黒曜石の騎士のレベルが上がったのではなく、確実に僕のダメージが蓄積されている状態だ。  魔法を出し惜しみしていたが、生きている内に倒さなければ、死んでしまう。そんな事もあろうかと、などと言うセリフは、生きている内に言わなければ、無いに等しい。  ジグザグ猛ダッシュで壁際へ逃げる。  今できる最強の強化魔法を詠唱。 「オ・ルオーケル・ギアSS」  唱え終わった瞬間、既に黒い太刀の刃が目の前にあった。
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