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「休めるうちに休んでおきましょう」
少し眠そうな素振りをする彼女にそう声を掛けてはみたものの。
「平気です、むしろ気を抜いては居られません」
と、キリッと返された。
口数も減り、ゆらりと揺れる彼女は、気付け薬を一本飲み干した。
夜の深い時間、普段の彼女なら、もうベッドの底に沈んでいるであろう時間かもしれない。僕に付き合って徹夜でレベル上げなんかしなくてもいいのに。
凶神デアゴズバズドスガドレアズはもう倒されているかも知れないのに。
よく考えてみると、手練れの勇者や騎士が一斉に攻略に向かっているのだから、それこそ一瞬で倒していたりして。
僕は平和主義者だから、できれば戦いたくないんだ。
ふかふかの布団に包まれて、特に何も無く寝て痛いんだぁぁ。
コツンと突かれてハッとする。
眠さの底辺りでは、こういう事がある。
一人行動だと、このままゲームオーバーで、レベル1からやり直し。
マルアさんがいてくれて助かった。
「あ、ありがとうございます、マルアさん」
「……」
「ま、マルアさん?」
「……」
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