勇者LV.3

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 今頃気付いたが、状況は最悪なようだ。  猿は、何も考えず鉄球を投げていたわけでは無く、天井を崩そうとしている。天井を鉄球で壊して、投球の邪魔にならないようにリフォームしているわけだ。  そのうち何球か、ストライクを投げてきた。  猿の軍団は総勢9体。モンキーナインは全員ピッチャーでは無く、何体かはバッターもいるし、ボクサーも紛れ込んでいる。  まだ一体も倒していない。  天井が削られたのは想定外だったが、大きな部屋から狭い通路に移動したのは正解だった。  幅が狭いので、一度に戦える人数は限られる。  一対一とまではいかないが、二人で同時に9体を相手にしなくてもいい。  一瞬で間合いを詰めてきたボクサー猿、後ろにステップを踏んだがリーチの長い腕は、顔面に届く。太さを活かしたパンチをかわしながら懐に潜り込み、ツルハシを突き上げる。  突き出した顎を引いて仰け反り、スウェーでかわす。  雑魚には無いテクニカルな動き、メンドクサイ。
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