勇者LV.3

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「おじゃましまーす」  小さく挨拶して、中に入る。  ひょっとしたら、扉の裏にかんぬきくらい掛けているかと思ったがそんな事も無く、真新しい扉は、スムーズに開いた。  室内は大広間、壁際には明る過ぎないランプが灯されている。  照明は、魔王城のランクを表す指標の一つだ。  照明無し、蝋燭、松明、ランプ、魔法照明、の順でランクが上がってくる。  この魔王城はの照明はランプ、それも、嫌味過ぎない凝ったデザインで有りながら、耐久性を考えられた素材選び。室内が戦場になったとしても、ランプが容易に割れないように、装飾の凝った金属製のフレームで彩られている。  とは言え、全体的なデザインは悪魔を模した物。  やはり魔王城である。  田舎から出てきたばかりの若者らしく、室内を挙動不審に見回っていると、硬い地面が大きく揺れた。  少し遅い、お出迎え。  ぶっきらぼうな挨拶を投げてくる。  広いとは言え室内で鉄球付きの鎖を振り回している大男、無駄に筋肉質で肌の色は灰色。牙付き、角突き、髪は無し、巨体の魔族が三体でお出迎え。
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