勇者LV.3

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 聖なる角材の尖った方を硬い床に事も無く突き刺して微笑む。 「こちらにはいつ、おいでに?」  甦る他の魔物たちを、体術だけで軽くあしらいながら、おっとりとした口調で尋ねてきた。彼女にとっては、近所に散歩に来たくらいの感覚なのだろうか。 「昨日から」 「レベル上げ、なさりにきたのですか?」 「まあ、そんなところです。ホーリーさんは?」 「早朝の水汲みをしていたところ、急にこちらの建物がニョキニョキゴゴゴーッと生えて参りまして、何やら楽しそうでしたのでつい」  やっぱり、軽い理由だった。  普段山奥で暮らしているから、イベントに飢えているのか、時折、魔王城でばったり出会う。いつも僕は血まみれで鬼の形相だから、聖なる角材でニ三発殴られるのだが、今回は顔も汚れていないので、そういう事にはならなかった。  ある程度上等な装備品を身に着けていると、汚れが付着し辛いようだ。  今着ている鎧も、レベルが上がってから、ほとんど汚れなくなった。
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