勇者LV.3

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 通常、この状況で、聖職者系冒険者が一人仲間に入るのは、足手まといに他ならないのだが、彼女ならありがたい。この魔王城はアンデット系も多い事だし、とにかく物量で攻めてくるタイプだから、回復の術があると嬉しい。 「じゃあ行きましょうか」 「はい」  恐ろしく無邪気な彼女と、大きな螺旋階段を上って行く。  相変わらず、宙を舞う魔物が火球を飛ばしたり、酸の息を吹きかけてくるが、熱くも痛くもない。それもこれも、ホーリーさんの常時発動スキルのお陰、彼女の傍にいる限り、ほぼ全てのダメージが軽減もしくは、ノーダメージになる。  直接的な物理ダメージも、いくらか軽くなる。  巨人の豪拳も、猫パンチ程しか感じなかった事も、石製の天井がそのまま落ちてきても、たんこぶ一つで済んだり、槍の雨でも薄皮一枚傷付くだけで済んだり。  運が良くなる、のでは無く、何かに守られている感じがする。  運は変わらず悪いままだからね。  べちゃりと顔にへばりついた、何かの肉片を剥がしながら気を滅入らせた。
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