勇者LV.3

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 ホーリーさんが角材に向けて手をかざすと、それは回転し彼女の元へと返る。  そのままの勢いでテーブルを乗り越えて、メイドの元へと向かった。  紳士は既に、僕の背後にいる。超スピードなのか、瞬間移動なのか分からないが、恐ろしく素早いという事は理解できた。  だが、攻撃の速度はそれほどでもない。  しかも手刀を振ってくるというお粗末な攻撃。  避けなくても鎧の防御力でダメージを喰らわないと思う。 「流石ですね、勇者殿」  それ程でも、と言うまでもない。  紳士は、間合いを取り、目をカッと見開いた。  たぶん催眠か何かの能力だろうけど、全然効かない。  確かに、眠いのだけど、それは徹夜のせい。  肉体的に眠たいだけ。  高レベルの勇者に小細工は通じないのだよ。
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