勇者LV.3

82/152
前へ
/228ページ
次へ
 人の形を保てない程、変形した鎧に包まれていてもまだ動く鎧の戦士。  痛覚を失っているのが、せめてもの幸いか。  まだその状況でも、ホーリーさんへ向かって行く根性は見習いたい。  事実上戦闘不能状態にする手段として、鎧を固めて中に閉じ込める。と言うのもありか。とりあえず身動きできないようにしていこう。    でも、この階には、まだニ十体以上の猛者がいる。  一体一体戦闘スタイルも違うし、そもそも強い。骨の折れる作業になりそうだ。  息つく暇もなく、一際大きな戦士が、ホーリーさんの前に立ち塞がる。  彼女は大振りで聖なる角材を叩き付けたが、それを掴まれ、力比べになった。  巨大戦士が角材に力を込めると、それに受けて立つホーリーさん。  お互い引かない様子だが、ホーリーさんの踏ん張っている足元の床がミシミシと音を立てて、やがて、砕けた。  スッとその場から消えたホーリーさんは、離れた位置から全身をぶつけるように、前方へ飛び込み、拳を叩き付けた。
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加