勇者LV.3

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「ゴオォン」  大きな鐘が鳴るような音が響く。 「かったーい。いてて」  巨大戦士の鎧はへこみはしたものの、ダメージはそれほど無かったようだ。  無骨な鉄の塊と言った、棘付きの巨大な拳を振るう。  寸前で避けるも、肩をかすめて聖衣が少し裂けた。  途端、彼女の顔は引きつり、無表情になった。  戦士の拳による猛攻を、手で払いのけながら、うつむき加減でブツブツと何かを唱えている。  その間僕は、付きまとわれている二体の戦士の具足を砕き、行動不能状態にしていた。  なるほど、身体は再生出来ても鎧はどうしようもない。しかも素材の厚みがあるしっかりとした作りの鎧であるばかりに、一度変形してしまうと容易に元には戻らない。  完全に倒した分けでは無いから経験値は入らないが、行く手を阻む障害物は、徐々に姿を減らしている。
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