勇者LV.3

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 朝日を背に浴び神々しさを増した彼女、その表情は、怒りではなく、無。いつもの笑顔でもなく、物悲しさを称えた無感情。しいて言えば何かを悟ったような、慈悲に溢れる無表情。  爺ちゃん婆ちゃんなら、彼女を必ず拝んでしまうだろう。  でも、ここには、屈強で凶暴な戦士しかいない。  無駄だと分かる理解力を無くした彼らは、全力で彼女に襲い掛かる。  彼女の心配ばかりしていられない。  僕の目の前にも敵がいる。  今までの戦士とは、ランクの違う戦士。  しかも、見覚えのある風体の戦士だ。少しトゲトゲにカスタマイズされてはいるものの、厳ついドラゴンとタイガーの装飾、ドワーフの様な剛毛の髭、眉間の大きな縫い傷。  破壊戦鬼と呼ばれる所以でもある、独特の武器。  ハーレーおじさんに違いない。  父の親友だった戦士ハーレー・デイビットソング。  勇者ではないが、大陸屈指の戦士と知られる男だった。
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