勇者LV.3

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 ハーレーおじさんの放つ一撃一撃は、腕が痺れるくらい重い。  それをおじさんの動きを真似てハンマーで受け流す。  わざとスキを作り、戦斧の大振りを誘い、地面に戦斧がめり込ませる。それを引き抜こうとしている間に横に回り、がら空きの脇腹を狙う。  予定だったが、おじさんは、戦斧を捨て、腰に差していた分厚いナイフ、いや鉈に近い形状の無骨な刃物を抜いて、牽制してきた。  動作速度は、僕の方が早いが、おじさんは先を読んで動いている。こう言うのが本当の意味での経験値なんだ。身体に沁み込んだ戦いの動きが、レベルなんて言う数値だけの強さを超えている。  でも、僕だって成長している。  こんなことで、投げ出したりはしない。  逃げ出したい気持ちは無くは無いが、勇者だから頑張る。  頑張れるから勇者なんだ。
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