勇者LV.3

102/152
前へ
/228ページ
次へ
 特盛の、ついさっきまでは、何かの生物だった生ものの山の真ん中に、神々しく輝きを見せるのはホーリー様。彼女は、その手から発せられる眩い光で、証拠隠滅をなされています。  そしてもう一人、猛剣で、残りの雑魚を鎧ごと薙ぎ倒したのは、仮面越しでも寝覚めの悪そうなのが分かるマルアさん。  この二人に遭遇した魔物達の運の悪さに、同情してしまった。  そして、同じように運の悪い連中が、後ろに控えている。 「どうか、ご慈悲を」  ゴブリンの命乞いなんて、あまり見た事が無い。  大概、命乞いの前に殺されてしまうか、最後まで戦い抜くか。  戦う事が、彼らにとって本望、たった一つの勲章だと思っていた。戦闘民族は、恐怖など感じないのかと思っていたが、そうではなかった。人間と同じ、怖い物は怖い、らしい。臆病だからこそ強がっているのかもしれない。
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加