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「こんにちは……えっとぉ」
「マルテイシアです」
「こんにちはマルテイシアさん、よろしくお願いします」
「はいホーリーさん」
流石、ホーリーさん。国中に知れ渡る有名人だから、マルアさんも知ってたんだね。
二人は、これだけ凄惨な戦場で、挨拶も無く戦っていたようだ。
どうでも良い世間話に花を咲かせて、ほのぼのとした雰囲気を醸し出しているが、ここは魔王城の中、しかも、死体だらけの地獄絵図なフロア。
「お食事、いかがですか?」
マルアさんは、きっと爽やかであろう仮面の下の笑顔で、袋から幾つもの菓子パンを取り出した。
チョコや粉砂糖やクリームの乗った甘々なパンをどこに隠し持っていたのか、と思ったが、妹が言っていた都会で流行っているコンパクトパンの事を思い出した。
それは、メギーおばさんと言う魔道パン屋のおばさんが開発した菓子パンで、袋の中では、小さなビー玉サイズ。それを一たび袋から取り出すと、ふんわり焼き立てスイーツパンになるという代物。
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