勇者LV.3

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 他の二人の攻略法を盗み見しようにも、位置的に、あまり見えない。  少なくとも、倒されてはいないようだが、倒してもいないみたいだ。  天才肌の剣士、マルアさんが決め手を欠いている様子だし、あの、最終形態であろう戦闘女神のホーリーさんでさえ手こずっている。  来る!  勇者の先読みセンサーが、やばい状況を感知した。  理想的な歯並びの下顎を大きく開けている。その口腔内には、まったく光の無い黒い点が見えた。耳障りなノイズが連続で聞こえると、それは大きくなり、顎はさらに開いた。  黒い光線。  とでも言おうか、周囲の光さえも奪い取るような黒い線が一直線に伸びた。  避けて正解。  黒い光線が伸びた先は、全てが消えている。  壁と床に綺麗な直線を描いていた。  そこにあった物が消えている、と言うより、空間そのものが消失している。
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