勇者LV.3

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「レスさん、大丈夫ですか?」 「あ、ええ、ま、まあ」  硬い壁に対して自損事故を起こす寸前、マルアさんが、受け止めてくれた。 「ありがとうございます」  助けられた身なのだが、何故かイケメンフェイスを気取ってしまう。マルアさんの正体が分ってから、何かと動揺している。 「これ、どうぞ」 「あ、はい」  気が付くと、ぼたりぼたりと、血を滴らせていた。大魔王女の怒りの追撃をかわしつつ、鼻からの出血を押さえる。憧れのアイドルの前で鼻血を出すとは、何たる不覚。外傷性のものとは言え、残念過ぎる。  それにしても、ペンダントを奪った後の方が、攻撃が激しいような気がするのだが。  ホーリーさんが体制を立て直す隙を作ってくれてはいるけれど、分厚い外壁を吹き飛ばす程の火力でも、今の大魔王女には致命傷を与えていないようだ。
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