勇者LV.3

146/152
前へ
/228ページ
次へ
 二本の筒からの大きな爆発音とともに、大量の煙が放出された。  巨大な弾が一瞬見えたが、それは大魔王女の、頭と腹部を吹き飛ばすと消えた。  少女は、担いでいた筒を二本とも空中に投げると、それは再び細かく分解されて、光と共に何か別の武器に変わろうとしていた。  光が晴れた後、彼女が手にしていたのは、金属製の棒、魔法使いが使うような杖を可愛らしくしたような、おもちゃのような物を持っている。 「マジカルファイヤーァァッ」  若干舌っ足らずな言葉で、魔法の杖が反応する。冗談のように大きな火球が瞬時に現れたかと思うと、それが一瞬で拳大に収束、高速で回転しながら杖の先で漂っている。 「バァァストォッー!」  多分あの技の名前や、叫びは、魔法と一切関係なく、ただのお飾りなんだと思う。叫ばなくったって、念じただけで発動できるレベルの人なのだろう。  火球は大魔王女の体を貫き、魔王城の壁を四分の一程、吹き飛ばして消えていった。  流石に、大魔王女は、ピクリとも動かない。  だが、倒せてはいないと思う。僕の中でレベルアップ音が鳴らないのだから。
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加