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「馬鹿め!」
ほとんど出来の悪い彫像と化した、大魔王女の残骸から声が聞こえた。残骸はナナセさんのひと睨みで、ポロポロと崩れ去ったが、その中から赤く光る玉が地面にコツンと落ちた。
「しまった。甘く見ていたわ」
ナナセさんは、がくりと膝をついて、その場に倒れ込んだ。お宝が無かったのが相当なショックだった、と言う訳では無く、いきなり大量の魔力を使ったから、脱力状態になったのか。
そうこうしている内に、赤い玉は、眩く光を放ち、大きく開いた窓から飛び去った。
直後、大きな揺れを感じた。主を失った大魔王城が大きな悲鳴を上げている。
天井は崩れ落ち、地面も揺れる。
突然の事に、動けずに居ると、さらなる罠が起動した。と言うよりも、誰かさんが起動させた。
大魔王座があった、部屋の中央、今居るまさにここの床が消えた。
ありがちな罠のパターンの一つではあるが、まんまと引っかかった。
四人とも、重力に任せて落下する。
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