勇者LV.3

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 ホーリーさんは、光の羽根を羽ばたかせて飛ぼうとしたが、上手く飛べない様子。僕達は成す術も無く、崩れた天井を避けながら、そのまま、落ち続けた。  落下中も、各階が爆破され、瓦礫を避けるのが精いっぱい。  モンスターから受けるダメージより、仕掛けによる物理ダメージの方が、直接効果があったりもする。  いきなり魔力を使ったせいか、ほとんど動けなくなっていたナナセさんを僕は担いでいる。思った以上に軽い。落下しているからではなく、まるで何も無いような感じがする。  これは一回死んだ方が良いか。なんて思ったが、ある事を思い出した。 「皆、中央へ集まってください!」  落下しつつも、壁や瓦礫を足場に、その速度を落としているのは流石。僕の声に、皆、部屋の、と言うよりは、穴の中央辺りに集まった。  僕は思いを込めて「トラテレポ」と呪文を呟いた。  四人全員が、一瞬でその場から消えた。
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