勇者LV.1

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「やあキミたち、今日は森が優しく微笑みかけてくれているよ」  自称14歳の妖精人間ソンクルトン・ペック。  いつも通り、輝いた瞳を潤ませて、お花畑を咲かせている。 「ソンク、そんな軽装で大丈夫なの?」 「大丈夫さ、僕の鎧は大地の揺らぎ、僕の冑は風の息、靴下だけは新品さ」  メリッサの問いにまったく意味が分からない返答、みんあ目を反らす。 「今回は強敵らしいぞ、流石にそんな装備じゃ、足手まといになる」 「ご心配なく、この服、魔法で強化してるし、盾も剣も特注品なんだよ」  確かに、全身の装備から禍々しいまでの力を感じる。  ソンクは、小さくて華奢な見た目とは違い、その腕は定評がある。  魔王の実力を遥かに凌ぐ、絶対魔王や魔皇クラスでも単独制覇する実力者で、国内外から仕事の依頼は殺到。実質この村人気ナンバー1の勇者、かもしれない。  だが、休みが多い。  週に一度か二度のお仕事。それ以外は村の中の小さな森の家で籠っている。  それ、僕がやりたいんだけど。
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