勇者LV.1

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 巨人が乗っても大丈夫そうな金色の軍馬。  競走馬ではなく筋肉の塊。それも一頭、二頭じゃない。  百頭以上の群れが現れ、猛スピードで駆けて抜ける。  危うく僕も踏まれそうになったが、最後の気力で草むらに転がって逃げた。 「な、なにいぃぃ、馬の分際でぇぐわぁっ」  さっき現れたばかりの魔族上司の断末魔。何かしようとしているが、成す術も無く、その場で液体を撒き散らす。  金色の軍馬は、地面を揺らし、土埃を上げながら駆け続けている。  ああ、魔族上司、ミンチ肉より酷い、ほとんど原型をとどめてない。  数秒間の行進の後、黄金の軍馬の群れは忽然と姿を消した。  ゾンビは跡形もなく消えている。正確には、表現できないほどのグロい痕跡を残して消えているが、僕の目には見えない、見えていない。  ゾンビ召喚していたグリンデルとか言う緑の魔族は姿を消している。  魔族の上司を残して、敵前逃亡か。  僕は、まだピクピクしている魔族に、命乞いの時間を与えなかった。 『テテテテテテテッティリリティーン♪』
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