勇者LV.1

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 割れたビン、砕けた杖、ビチャビチャな服、ろくなアイテムを残していない。  流石上司、お金は結構持ってるな。 「相変わらず、容赦ないな、勇者レスタリオス・アクセリオン」 「ええ、まあ」  挨拶すべきだが、僕はハニカミ屋さんだから。 「しかし、こんなところまで魔族が入り込むとはな。これから先は結界が張られているから、入り込む余地は無いのだが」  分りやすい説明ありがとう。  そうです、村には、妹も含む防御系の勇者の力によって強力な防御壁『ブレイブバァリア』が張られているから、そう簡単には入り込めない。 「レスタリオス。お前、アポロ達と一緒じゃなかったのか?」 「あ、えっと、死んじゃって」 「そうか、また死んだのか、まあそれは仕方ない、これ食っとけ」  そう言って渡されたのは干し草だった。 「どうした? 食わんのか? うまいぞ」  老人は干し草の一本を、激しい顎の動きで咀嚼している。 「い、いただきます」  うまくない。どころか苦、苦い、苦すぎる。  炭をそのまま食べるより苦い。食べた事無いけど。  妙薬口に苦し。と言うけど、これ罰ゲームでしょ。でも、体力はみるみる回復してゆく。ついでに腹痛も治ったようだ。
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