目覚めはゼロな鬱勇者

勇者LV.1

「兄ちゃん、臭ぇよ」

　直接過ぎる一言を放つおっさん戦士。

　ツルハシで兜を割りたくなる。

　この町で笑ったヤツを、いちいち殺していれば既に十人は屠っている事になる。

　惨殺勇者、なんて肩書は欲しくないから我慢しよう。

　この町には居たくない。滅んでしまえ。

　文字通り鼻つまみ者にされてるが、風呂に入る暇はない。

　どうせまた汚れるし、社会見学に来ている筈の妹に見つからないうちに、さっさと町を出よう。お兄ちゃん臭い、なんて言われると、マジで立ち直れない。

　さっさとアイツらを追いかけよう。

　でも、回復系のアイテムは補充しておこうかな。

　さっき倒した上司魔族から頂いた、お金がたんまりあるし。