勇者LV.1

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「小川で水浴びくらいして行ってね。じゃあ、頑張って」 「ありがとう」  店内にいる妹の学友に小さく挨拶をしながら、コソコソと外に出た。  やっぱり臭いのか、この格好がダサいのか、その両方なのか、視線が厳しい。  こう見えて、それなりに有名な勇者だから、より最悪。  去年の魔王退治数記録保持者なので、ちびっ子のファンも居なくはない。  ただそれらは、最高にいい装備で最高の状態で僕の絵が描かれているので、現状のダサい装備の血まみれ勇者を目にした時、ちびっ子達は現実を知って、引いてしまう。  ヒーローとは孤独な物だ。  別にモンスターを殺すのが趣味。と言う訳ではない。仕事で勇者やってるだけなんです。あいつ等が罪無き人間を痛め付けようとするから悪いんです。  僕は正義の勇者なんです。きっと。  声を掛けようとしてきた鎧の人を無視。  出来るだけ誰とも目を合わさないように、門まで小走りで逃げ、馬を走らせた。
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